骨粗しょう症
「先生、わたしこの頃、骨がみしみし、みしみし言うような気がするんです。 この間、Y子さんの家に行ったら、わたしにはお茶を出すんですけど、彼女ったら”骨粗しょう症が心配なの”っていって いっそ牛乳を飲んでいるんですよ。」
「わたしも牛乳は大好きですよ。急に飲みたくて飲みたくて仕方なくなったり するんです。まあね、診察の途中で飲むわけにも行かず、家に帰って一気にごくごく飲みます。 もちろん、腰に手を当てて。」
「まあぁ、先生ってどこか健康に純粋なところありそうですものね。本当に頼りがいあります。 でね、先生。わたしY子さんと話していてなんかとっても心配になってきたんです。骨粗しょう症ってどんな病気なんですか? Y子さんの説明じゃさっぱりわからなくて。わからないでいるとどんどん心配になってきて。」
「骨が減って、弱くなって、とても骨折しやすくなる病気です。 ひどくなるとつまずいて、転んだだけで背骨が折れてしまうんですよ。 骨折しやすいところは、背骨(脊椎)、肩の骨(上腕骨近位)、手首の骨(橈骨遠位端)、 脚の付け根(大腿骨頚部)です。」
「え?! せ・ぼ・ね・が折れるんですか?先生、鳥肌が立ちますわ。
背骨が折れるとどうなっちゃうんですか?歩けなくなっちゃうんですか?」
「通常は、背中の骨が折れても、歩くことはできます。 ただし痛みで体を動かすことが困難になります。 ベッドから起きあがったり、椅子から立ち上がるなどがすごく痛くて難しくなります。
でももし脚の付け根の骨が折れて、骨がずれてしまったら歩くことができません。」
「へえ、背中の骨が折れても歩くことは出来るんですか。でも先生、
折れた背骨はどうやってなおすんですか?歩くことが出来るならなおさないんですか?」
「背骨の骨折の治療の基本は安静です。
コルセットをつけて、腰を固定します。 痛みがおさまるまで、痛み止めの薬を使用します。痛みが強い場合は、入院する患者さんもおられますが、たいていの場合、自宅で治療することが可能です。まず、痛みをとる薬を内服します。また痛みをとり、骨を強くする筋肉注射(カルシトニン製剤、製品名エルシトニンなど)を週1回の間隔で、10回まで注射します。」
「背骨が折れても入院しなくてもいいんですね。 意外と大丈夫なんですね。」
「痛みが強い場合は、入院をお勧めする場合もあるんですよ。
1月ほどたつと痛みが軽くなってきます。骨折部がしっかりするまで2か月ほどかかりますが、 背骨が折れているのに無理して動くと、折れた部分で骨のつぶれ方が大きくなり 背中が円くなります。
安静が第一です。無理をしてはいけません。
中には、骨が治らず、痛みが続く方がおられますし、折れた場所で神経が圧迫されて、脚に力が入らなくなくなる場合があります。
その場合には、手術をして神経の圧迫を取り除く場合があります。」
「背骨が折れたときも、手とかが折れたときと考え方は一緒なんですね。 まず固定して、固定がうまくいかないときとかに手術が必要になってくるんですね。」
「そうです。肩や手首の骨折は、折れ方が良ければギプスを巻いて直します。 通常1か月から2か月間かかります。
でも、骨のずれが大きい場合は、手術が必要です。
さっきお話したように脚の付け根が折れてしまうと、歩けなくなってしまいます。 だから脚の付け根の骨折の場合は、早く歩くために手術をする場合がほとんどです。いずれにしても、骨粗しょう症で骨折すると、手術が必要になる場合もあります。 」
「怖いですねぇぇ。わたしみたいにこんな年とってから、歩けないような怪我をすると、 もう二度と歩けなくなるような気がしますわ。」
「いえいえ、まだまだQ子さんは大丈夫。ぜ~んぜんお元気じゃありませんか。 でもそうですね。まず、転ばないことが骨折防止に必要です。 そして万が一、骨粗しょう症と診断された場合は、きちんと 治療をすることが大切です。」
「骨粗しょう症の治療っていったいどんなことをするんですか? 骨が減っちゃう病気だって先生おっしゃっていたから、骨を増やすお薬でも飲むんですか? 苦いの?」
「まずね、運動です。 もちろん食事でカルシウムをたくさんとることも大切ですが、 食べたカルシウムを骨に沈着させる(くっつける)には、骨に負荷をかけなければなりません。骨に負荷をかける方法は骨を動かすこと、運動することです。 しかも一番いい運動は歩くことです。一日合計8000から1万歩を持続することを目指しましょう。」
「先生、わたしね歩いていますよ。わたしね、そこの大麻中央公園が大好きなんです。 じいさんとけんかすると家にいづらくなってしょっちゅう公園に来ています。しょっちゅうけんかしてるってわけなんですけどね。 家からてくてく歩いてくるしあの公園広いから自然にけっこう歩いていると思うわ。」
「いや、けんかして運動しなくても、、、。 でも大麻中央公園は自然がいっぱいで気持ちいいですよね。 わたしもときどき走っています。」
「よっ、炎のランナードクターN。先生かっこいい。」
「Q子さん、あ、ありがとうございます。 ところでもうひとつカルシウムを骨にくっつけるのに必要なことがあるんです。 それはね日光浴です。 食事でとったカルシウムが腸から吸収されるためには、ビタミンDが必要です。 薬でビタミンDを摂取することもできますが、日光浴でもビタミンDを作ることができます。 日光浴は夏なら木陰で30分、冬なら1時間程度顔や手に太陽の光りがあたれば十分です。 あまり紫外線にあたりすぎるのは、ご存知のように体によくありませんからね。」
「子育てするときもひなたぼっこが必要でしたもんね。 でも今は、紫外線がマズイとかいってこの間も孫と遊んでいたら娘に怒られてね。」
「日光浴はほんの少しでもいいんですよ。 それからもうひとつ大切なのは、やっぱり病気ですからね、定期的に受診して投薬を続けること。 お薬をちゃんと飲んでください。 たくさんの種類の薬がありますので、主治医ときちんと相談して下さい。 薬の効果は1-2週間で現れるわけではありません。 半年から1年の間隔で骨の密度を測りながら、薬の服用を続ける必要があります。 根気よく薬を続けなくてはいけません。」
「わたしはね、大丈夫よ。 N先生が大好きだから、おおあさクリニックに来るのも大好き。 でも、薬を飲むのはちょっといやだわ。めんどうだし、苦いし。」
「わたしも、Q子さんに会えるのは楽しいですよ。 元気なQ子さんと話しているとわたしも元気になります。 Q子さんは嫌かもしれませんが注射を使う場合もあります。 カルシトニン製剤という薬を先ほど言ったように週1回筋肉注射します。 特に背骨の骨折の痛みをとるのには有効です。」
「わたしは注射はしませんよ。」
「わかってます。」
「先生、ありがとうございます。なんとな~く、わかってきました。 ところで、骨粗しょう症はどうやってしらべるんですか?」
「すごく簡単なんですよ。"骨塩定量検査(こつえんていりょうけんさ)"っていいます。骨密度の 検査って簡単に言いますけど。骨の量の検査です。おおあさクリニックには専用の機械があるんです。 例えば左手を使った場合、こんな風に台に腕をのせて6分間じっとしているだけです。 そうしたらコンピューターが計算して、その年齢の標準のデータと比べて骨の具合がどうか紙に書き出してくれるんです。」
「先生、それ、今日、受けられます?」
「もっちろんですよ。予約になっちゃうこともあるけど、今日はね、OKです。 Q子さんにはスペシャルバージョンでお送りします。」
「なんですか?スペシャルバージョンって。」
「冗談です。」
「、、、先生、冗談似あわない。」
「、、すみません。(ぐすん)
看護師さ~ん、Q子さんに骨密度検査の問診表お渡ししてくださ~い。」